ミュージカルヲタが憧れの地へぼっち旅してきた話 Vol.1 観劇編
!CAUTION!
ドルヲタと同じくらいかそれ以上に拗らせたミュージカルヲタとしての長年の夢を叶えるため、3泊5日でニューヨークへ行ったことについて徒然に書いた、ただの個人旅行の備忘録です。
無駄に長いです。
それでもおkという方は、『続きを読む』からお進みください。
ミュージカルを愛する者の聖地、ニューヨークのブロードウェイ。
いつか行こう、いつか行こうと思ってはいても、海外になんて行ったこともなく、パスポートすら持っていませんでした。
しかし、次に長い休みが取れるタイミングなんて無いかもしれない、と一念発起し、パスポートを取得し航空券とホテルを予約し、見たい作品のチケットを購入。
そして遂に、行ってきましたニューヨーク!
書きたいことは物凄くたくさんあるんですが、まずは今回の旅行で観劇したミュージカル3本について、感想を書いていきたいと思います。
まず1本目は、『オペラ座の怪人』。
日本では劇団四季が上演しているので、わりと有名ですね。
何を隠そう、私がミュージカル沼に嵌ったきっかけが、この作品の映画版を観たことでした。
友人に勧められて、この作品を映画館で観た結果、私の人生が変わってしまいました。
私をミュージカル沼に突き落とした中学時代の同級生のことはおそらく一生忘れないでしょう。まったく君はなんてことをしてくれたんだ。おかげで人生楽しいです。
劇場内は古めかしくて趣があり、座席の木製の手すりの側面に彫刻が施してあったりと、雰囲気たっぷりでした。
開演前や幕間で、水やワインや軽食を売るスタッフさんが通路を練り歩いてて驚いた。日本だと劇場内の飲食厳禁だったりするけど、普通に飲食してておkなのね。
次に行ったときはワイン飲みながら観劇してみたいなぁ。
平日昼公演だったので、客入りはそこそこ。
アジア系観光客がかなり多い印象を受けました。客席から日本語もちらほら聞こえてきたし。
ブロードウェイのミュージカルはどれもオーケストラの生演奏付きなんですが、やっぱり生演奏は良いなぁ…初っ端のOvertureから鳥肌立ちまくりでした。
この作品は主に弦楽器がメインの編成なんですが、バイオリンが素敵で素敵で…
2幕で場面が転換するときのBGMとして流れていたバイオリンソロが忘れられない。
キャストに関しては、クリスティーヌ役の人がとてつもなく綺麗だった、これに尽きる。
見てくださいこの神々しいお姿…
Julia Udineさんという方なんですが、綺麗で可愛らしく、儚げで透明感があり、なおかつファントムとのシーンでは彼の持つ音楽に魅入られて我を忘れてしまう危うさもあり…今まで私が見たクリスティーヌの中でトップクラスに理想的なビジュアルを持つお方でした。
劇中劇のイル・ムートでセラフィーモ役をしている時がチャーミングすぎて一人ニヤニャしてました。セラフィーモはクリスティーヌが男装してさらに女装するっていう設定だから、見た目可愛いのに所作が男の子っぽいっていうギャップが面白すぎて大好き。
あとはやっぱり2幕ラストのファントムさんが好きだなぁ。
ピアンジを殺してクリスティーヌを地下へと無理矢理引きずり込んだ挙句、ウエディングドレス着せて結婚しようとするっていうね…自分もちゃっかりタキシードに着替えちゃうしね…クリスティーヌの頭にいそいそとヴェール被せちゃうしね…
クリスティーヌを奪う時には手段を選ばないくせに、クリスティーヌと結ばれようとするときにはきちんと段階踏もうとしてるファントムさん愛しい。
キスされたときにクリスティーヌを抱きしめたいんだけど、手がプルプルしちゃって結局抱きしめられないヘタレファントムさん愛しい。
サルのオルゴールがマスカレードを奏でている時、自分の仮面と同じように、サルの顔の右側を手で隠す素振りをするっていう細かい演技が好き。
クリスティーヌに指輪を返されて、「Christine, I love you…」って歌った後、去りゆくクリスティーヌの背中に向かって「I love you…I love you…」って呟くファントムさんが切なすぎた。
やっぱり個人的にも思い入れがあるってこともあり、何度観ても面白い。
またニューヨークに行く機会があったとしたら、絶対また観に行っちゃうんだろうな。
②THE BOOK OF MORMON
現在上演されているブロードウェイミュージカルの中でも屈指の問題作(褒めてる)。
宗教・人種・セクシャリティ等、扱いが難しい問題について真正面からネタにしていき、Fワードや下ネタ全開、更には他作品(主に某D社)の限りなくアウトに近いアウトのパロディを存分に含んだ、『こんなんほんとに許されるのか!?』と心配になってしまうような作品です(褒めてる)。
全編にわたりコメディ全開で会場はドッカンドッカン笑いっぱなしですが、ミュージカルとしてのクオリティも相当高い。それもそのはず、『アナと雪の女王』の作曲をした方が楽曲制作に携わっています。にも関わらず某D社(特にラ○オンキング)のパロディがふんだんに組み込まれてるのが面白いところですが。
5年近く上演が続いている作品ですが、未だに根強い人気を誇り、チケットの値段も高い高い。
少しでもチケット代を浮かせるため、今回選んだ席は最前列の端席。
たまに出てくる、ライトセーバーを持った黒いお父さんが若干見切れるくらいで、全編にわたりしっかり見えました。とにかく近かったおかげで、キャストの細かな表情の演技とか、小道具に書かれた文字を読んだりできて面白かったです。
2幕でウガンダの人たちがショーを見せるとき、小道具で置かれてた木箱の側面に、かすれた文字で『Unicef』って書いてあってOh…ってなった。
キャストを見てみると、エルダー達はこの作品でブロードウェイデビューした人が多かった。若手俳優の登竜門的な作品になっていくのかな。
エルダー達はとにかく若さに溢れていて、ダイナミックで切れのいいダンスがかっこよかったです。コーラスも綺麗。
僕の赴任先はどこになるんだろう?とプライス君が歌い、その他の人々がスローモーションで動く場面で、赴任先が日本になった2人組がスローで動きながら深々とお辞儀してたり、お寿司を食べさせあう振りをしていたのが面白かったw
あと、地獄の夢の場面で、ドライアイス的な演出の煙が私の顔にふわっとかかったとき、なんとなくメープルの香りがしたのがすごく細かいなぁと思いました。きっとあの香りに負けて、プライス君は夜中にドーナツ食べちゃったんだね…
で、今回凄く好きだったのは、ナバルンギ役の方の歌唱力。
1幕の彼女のソロがとても伸びやかで圧倒された。曲がまだ終わってないのに、客席から拍手がこぼれるくらい素晴らしかった。
で、ここで少し話が逸れるんですが、私がすごく好きな動画がありまして。
Kristin Chenoweth singing I Say A Little Prayer
この動画でメインで歌ってるKristin Chenowethが私は大好きで、頻繁に聞いていたのですが、コーラス4人組の一番左にいる方が、歌っている時の笑顔が素敵で、あぁこの人良いなぁと思いながらいつも見てたんです。
そして話は戻り、今回のナバルンギ役の人素敵だったなぁ、何て名前の人だろう、Nikki Renée Danielsさんっていうのか、ググって調べてみようかな、あれ、なんだかこの笑顔には見覚えが…
あ の 人 だ ! ! ! ( ゚Д゚)
いやぁほんとびっくりした。密かに好きだった人を偶然にも生で見ることができていたなんて…ていうか気づけよ自分orz
でもとにかく、素晴らしい歌声でした。今までナバルンギはメイン的な扱いのキャラのうちの一人、っていう立ち位置だと捉えていたんですが、彼女のナバルンギは完全に主役を食っちゃうんじゃないかってレベルの存在感でした。
とにかくいろんな意味でギリギリラインを攻めてる作品なので、おそらく日本版キャストで上演されたりすることはまず有り得ないと思います。だからこそ今回観に行ったんだけどね。
日本では知名度は高くないですが、作品の背景やあらすじを予習してから観れば、笑いどころのわかりやすい作品なので存分に楽しめるんじゃないかなと思います。
興味がある方は下の動画を見てみてください。思わずフフッてなること請け合いです。
2012 Tony Awards - Book of Mormon Musical Opening Number - Hello
③WICKED
こちらも劇団四季で上演されているミュージカル。
ブロードウェイではロングラン10年越えにもかかわらず現在も不動の人気を誇り、約2000人キャパの劇場が連日大盛況となっている物凄い作品です。
今回観に行ったのは金曜夜の公演でしたが、ほぼ満席状態でした。
にしてもブロードウェイのミュージカルは、夜公演の開演時間が20時とかなのが凄いよね。仕事帰りにも普通に平日の公演観に行けるじゃないか…羨ましい限り。
今回行った3つの劇場の中では一番内装が新しくて綺麗でした。
壁にはオズの魔法使いの世界地図が描かれていたり、バーカウンターでは作品をイメージしたオリジナルドリンクが売られていたり、写真撮影スポットが設けられたりしていました。
個人的に、ストーリーを知っている人にとって一番泣けるシーンは1幕冒頭だと思っています。ラストシーンを知ってるとあそこで泣かざるを得ない。
グリンダはにこやかに民衆に笑いかけてるんですが、「邪悪な魔女はもう死んだんだ!誰も彼女の死を悲しんだりしないんだ!」という民衆の声に顔をしかめて、否定したい気持ちを必死に堪える表情をしていたのが切なかった。
開始5分で涙目になっていた日本人観光客は私です。
あと、オズの魔法使いがグリンダとエルファバを見て、「Which is Witch?(どっちが魔女だい?)」と問いかけるシーンがあるんですが、そこのシーンの観客の反応が、
(´・ω・`)?→( ゚Д゚)!→(ノ∀`)アチャー
って感じで3段階のざわめきが起こっていたのが面白かったw
同じ読みの単語だから一瞬わかんないんだけど、言葉遊びに気づくと『あぁ、そういうことね』ってなるんだよねここ。
今回観てみて思ったのは、やはり楽曲の難易度がすこぶる高いんだなということでした。
エルファバは高めの音域もファルセットを使わずに歌わないといけないからめちゃくちゃ難しい。グリンダもエルファバよりも高音域を求められる上に、細かな感情の揺れを表現しなければいけない。改めてオリジナルキャストの2人って物凄いんだなぁと思ってしまいました。ちなみにオリジナルのグリンダは、上の動画でも出てきたKristin Chenoweth、エルファバはアナ雪の『Let it go』でおなじみのIdina Menzelです。
WICKED - Defying Gravity - Idina Menzel & kristin chenoweth (adaptación español)
2幕最後らへんのシーンで、グリンダとエルファバが最後の別れを言うシーンがあるんですが、そこで一番好きだった演出が無くなっていたのが悲しかったなぁ…
グリンダがエルファバの帽子のつばを触る、っていう演出が無かったんです…あそこがあるから、作中ずっと同じ帽子を被ってるエルファバを愛おしむグリンダ、っていうのが伝わるのに…
色々思うところはありましたが、セットの転換の面白さや、照明の綺麗さ、楽曲の素晴らしさなど、やはりクオリティの高い素晴らしい作品でした。
個々の作品についての感想はここまで。
ほんとはもっとたくさん観たかったんだけど、昼公演がある日などを駆使しても3公演観るのが精一杯でした…
3作品観て思ったことは、やっぱり向こうの観客はノリが良い。
笑うところは思いっきり笑う。オペラ座でもちょいちょい笑いが起こっていたのが結構びっくりしたなぁ。ブックオブモルモンはもうずっとドッカンドッカンでしたが。
驚くところのリアクションも大きい。シャンデリアが落ちたときの驚きが凄かったし、ウィキッドでエルファバとグリンダがビンタの応酬するときもざわめいてて面白かった。
あと、カーテンコールが1回のみであっさり終了する。日本の舞台はカーテンコールがやたらと長くて、カーテンコール自体にネタを仕込んでる作品も多いから、演者への称賛というよりそのネタ目当てでずっと拍手してる感じがしてなんだか腑に落ちないときがあるんだよね。さらっと終わってくれるのはありがたかった。
今度行ったときはまた違う作品を観たいなぁ…でも今回観た作品もリピートしたいなぁ…
一度ブロードウェイに行ってみたら満足するかな、と思いきや、むしろもっと観たい欲求が膨れ上がってしまう結果となりました。
絶対また観に行って、PLAYBILLコレクションを増やしてやるんだ!!
観劇編はこれにて終了。備忘録はまだまだ続く。